ビール瓶で殴られるというおもひで その1の続き


学校のスキー合宿の参加費用を稼ぐため、
ハイパークレイジーなママが営む居酒屋で
アルバイトをしていたハタチの若お母さん。
 
いよいよお給料をもらうその日、
ママに「お金はない」と言われた若お母さんは。。。

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「そんな!今日もらえないとすごく困るって
私、前からお願いしてたじゃない!」



「そんなこと言われたってね~
あなた、ないもんはないんだから仕方ないでしょう」


甘えた声でそう宣うママの隣には、
ママに惚れてる常連の山田(仮名)っていう
おじさんがいたわ。だらしないけど良い人だった。

「若お母さん、いくら必要なんだい?
ママ、かわいそうだろう。払ってやりなよ。」

山田ってば、いつもはママの言いなりに
ぼられてるのに、今日はお母さんに加勢してくれてるじゃない。

「あんた関係ないでしょ!黙ってなさい!」

しかしママに怒られる山田。

若お母さんは焦ったわ。
今日お金をもらって明日支払わないと
スキー合宿に行けない。。。

スキー合宿に行けないと、
大学3年生になって1年生の授業に混ざるという羽目になる。

それだけは避けたい!

だめだわ、やっぱりここは引けぬ。

「ママ、絶対ダメ!今日はお給料払ってくれるまで
私帰らないから。」


「あんたもしつこいわね!
ないったらないのよ!いいからもう帰んな!」

 
ママってば今日も泥酔して目が焦点あってないわ。
こういう時の顔ってなんか怖いのよね。

でも怖いからと言って引き下がらないわ。

「じゃあ明日の朝取りに来るから用意しておいて。」

「そんなの、無理よ」

「タダ働きさせるってこと?!」

「そうは言ってないでしょ。」

「いつなら払えるのよ?!」

こんな調子で若お母さんとママの押し問答は延々続いたわ。
隣でなんかちびちび飲んでる山田がとっても気の毒。


若お母さんがあんまりしつこく食い下がるもんだから、
ついにママが逆切れを始めたわ。

「しつこいわねあんた!文句があるなら警察でも呼びなさいよ!」

という、意味の分からない言い分を持ち出す始末。

怒りながらもお酒をグイグイ飲み進め、
しまいには若お母さんに千鳥足でにじり寄ってきたわ。

今思い出すとあれは完全に酔拳だった。


今までの人生で酔拳でにじりよってくる女性に
迫られた経験のある方っていらっしゃる?


いないわよね?!なんなのこれ。

実際いたらめちゃくちゃ怖いから、こんな人。


ママ、酔拳ウォークしながら、
めっちゃ手に空のビール瓶持ってる。
空のビール瓶を片手に、フラッフラで目がイッちゃってる。

そして、なんか怒りわめきながら
ビール瓶を大きく振りかぶってー。。。


若お母さんに向かって
振り下ろしたー!!
 









ゴン!!
 



小さな店内に、鈍い音が響いた。

若お母さん、とっさに右腕でママのビール瓶攻撃を受けたわ。

いやこれ、本当に痛いから。
頭に当たってたら大変なことになってるから。


よく映画なんかで怖い人がビール瓶を
ガシャンって割るでしょ。
実際のビール瓶ってのは本当に頑丈にできてるからね。

あんな風にちょっとぶつけたくらいじゃ
全然割れないの。鈍く「ゴン」っていうだけなのね。

めっちゃ痛いからアレ!

若お母さん、ママにビール瓶で腕を殴られて、
ショックだし痛いしで血の気がさーっと引いたわ。

山田も隣でドン引き。


しかし次の瞬間、若お母さんの中に、 
猛烈な怒りが湧き上がってきた。


(おかしいでしょ。なんで私が殴られてるの今。
痛いし!なんなのこのママって人は!!) 

ビール瓶で殴られた若お母さんは怒った。
とっても怒った。

怒ってママに反撃を決意したわ。


そして。。。。
ゆっくりと立ち上がると、
ビール瓶ごとママの腕を持ち上げて。。。。




「そりゃあああああああ!」





渾身の一本背負いをお見舞いしたわ。




お見舞いされたママは、
床に倒れこんで呆然。放心状態になってた。
ビール瓶は握ったままだった。

そのまましばらく無言の時が流れたのち、
横でドン引きしていた山田が沈黙を破ったわ。


「わ、若お母さん。今日は俺がお金を建て替えとくよ。ほら」


そう言って、山田がお財布からお金をササっとだして、
お母さんに差し出したわ。

「だめですよ。そんなのもらえませんよ。」

 「いいから、ほら受け取って。」

「だめですってば。」

 「いいから」

「いや。。。」


そんな風に
いやいや、いやいや、を繰り返してると、


「いいから、これもって帰れ!」


って、最後は山田がブチ切れて
無理やりお金を掴まされてお母さんを店から追い出したわ。

お母さん、掴まされた現金をポケットにしまって
夜道を一人、トボトボと歩いて家に帰っていった。

殴られた腕がジンジンと痛んで、
涙がポトって地面に落ちたわ。



そうして山田のおかげで、
お母さんは無事スキー合宿のお金を支払って
体育の単位もその年に取得できたって話。


ありがとう山田さん。
お金を稼ぐって、こんなに大変なものなのですね。




今思うと本当にどうかしてると思うんだけど、
お母さん、その後もしばらくそのハイパーなママの元で
働いたのよね。

一体どんな顔して出勤したのかしら?!
バカなの?


アルバイトをやめた後は、その店の近くには
近寄らないようにしてたわ。
うっかりママに合ったら嫌だったし。
 
でも数年後に店の前を通った時、ふと店を見てみたら
いわゆるサラ金業者が貼っていったっぽいすごい
張り紙がお店の入り口いっぱいに貼られてた。

ママってば、本当にお金に困ってたのね。
娘さんを一人で育ててて、大変だったのかもしれない。

あの時ビール瓶で殴られたことは
とっくに許してるよ。
一本背負いしたことは謝らないけど。

今もどこかでハイパーに生きていてくれてることを願うわ。





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