毎日のお弁当。
たいしたもの詰めてるわけじゃないんだけど、
日本の弁当禁止ってなると持っていけるものが無い日もあるのよね。

たとえばまずパンがないとか。

でも連日不健康な学食を食べさせるのも嫌だし、
冷蔵庫にはカレーがあったから、
お母さん子供たちに

「今日はお弁当カレーでいい?」

って聞いたのよ。
カレー持たせたことはないんだけどね。

そしたら次男は「なんでもいいよ」って言うんだけど、
長男がすごい勢いで抵抗するわけ。

「やめて!ダメ!絶対カレーはダメ!」

って言うわけ。

理由を聞いたら、予想通りクラスメイトにからかわれるからですって。

日本の弁当持っていくと必ず誰かに

「Ewww!」(おえー!)

ってからかわれるらしくて、
思い出しただけで涙がにじむほど恥ずかしいらしいわ。

お母さんそれはもう知ってたんだけどね。
でも今日はカレーしかないし、と思ったらムカついてきたわ。

なんでアメリカ人の「ew」なんかのためにこんなめんどくさい気を使わねばならぬのか。

アメリカ人はカレーのにおいで食欲増したりしないのかしら?
日本人ならカレーランチは男子の憧れのはずよね。

イラっときてるお母さんは今日は長男を追究することにしたわ。


母「じゃあ聞くけど、EWって言ってるその子は何食べんのよ?」

長男「ホットドッグとか」

母「EWWW!ホットドッグなんてあの下品なケチャップでぐちゃっとした見かけのEWWな食べ物でしょ?!」
(※お母さんはホットドッグ大好きです)

長男「ホットドッグのどこがEWWなの!」

母「だったらカレーも一緒よ!カレーのどこがEWなのよ!」

長男「そうだけど。。。」

母「僕が何を食べてても君には関係ないでしょっ、て言えないの!?」

長男「言えない」

母「言えなくてどうしてるのよ。」

長男「何もしない」

母「何もしないで陰で泣くのか!」

長男「うう。。。」

母「あんたが友達の食べてるものにEWWって言って、
その友達がそれがショックで家で泣いてたらどう思う?」

長男「かわいそう」

母「誰が間違ってるって思う?」

長男「EWが間違ってる」

母「そうでしょ?君はなにも悪くない。弁当を作ったお母さんはもっと悪くない。
EWって言うその子達は、思いやりや、
世の中にはいろんな人がいるってことを誰にもまだ教えてもらってないのよ。そんだけ!

君はお母さんから愛情と教育を受けてるから
やり返したりしなかったでしょ?
それって素晴らしいわ。君が恥ずかしいことなんてないのよ。
だからバカにされても傷つくんじゃないよ!」




なんて言いながらね。
お母さん、弁当をバカにされる悔しさは誰よりも知ってるわ。

お母さんが小学校三年生の時、転校した先の学校はなぜか弁当だったのよ。
それで毎日お母さんのお母さんがお弁当を作ってくれたんだけど、
毎日隣の席の男の子が言うのよ。

「お前の弁当ってふりかけもかかってなくて、貧乏なの?」

って。
今でもはっきりと覚えてくるくらいショックだったわ。
急に自分のお弁当が恥ずかしくなって泣きたくなった。

それで母親にお願いしてふりかけをかけてもらうんだけど、
隣の男の子は何かと弁当を見に来て毎日「貧乏弁当」ってからかうわけ。

お母さんそれがもう辛くて辛くて。
母親になんとかかわいいお弁当をお願いしたわ。
だけど、どんなお弁当を持って行っても結局からかわれるのよね。

あの時、そのことは特に解決したわけでもなく
お母さんは強烈な弁当コンプレックスを植え付けられて、
その後ずっと、お母さんは弁当が大っ嫌いになっただけだったわ。

それで今回、あの時どうしたらよかったんだろうって考えたのよ。

弁当をバカにされるのって、
長男にしてみたら衝撃の屈辱だと思うのよね。

まず親をバカにされて、文化をバカにされて、
いわば彼のアイデンティティを否定されるってことよ。

それは子供にはきついわよね。
わかってたから日本の弁当はほとんど持たせないんだけど、
そろそろ彼にもそういう差別的なことと向き合ってほしいわ。

次男はからかわれてもなんとも思わない子だから、
解決法も人それぞれなんだろうけどね。

これを乗り越えるには、長男が自信を持ってくれたらなぁと思うのよね。
(自分は満たされてて、人に恥ずかしいことなんてない、
だからカレーも恥ずかしくない!)ってね。

お母さんが子供のころは、いろいろと負い目もあったから
心がすごく弱かったのよね。
それでいてすごく強がって生きてたわ。

でもね、長男なんてお母さんから見たら
恵まれすぎなくらい恵まれてると思うわ!
お母さんみたいな情に厚い母親が味方もいるし。

お母さんはもう、弁当バカにされてもなんとも思わないわ。
おばはんになって図太くなったのもあるけど、
自分に自信がついたからだと思うわ。

お母さん、日々色々あるけど今はもう「足るを知って」人生は完璧だと思ってる。
自分に自信を持つって、最強よね。

お母さん、自分の経験でしか語れないけど、
自分に自信をつける唯一の方法は、
ひたすら清く正しく誠実に、正直に生き続けることだと思うわ。

お天道様に恥ずかしくない生き方を貫くのよ。
むかーし昔の人が言った良いことは
時代や国が変わっても変わらないと思うわ。

長男にも、なんとか20歳までには自分に自信をつけてほしいわね。
お母さん、まだまだ頑張るわよ~!

でも結局この日は、、、
長男に説教しすぎて時間が無くなって不健康な学食。。。