約束の火曜日、お母さんはお父さんと、そして通訳の人もお願いして
皆で校長先生との話し合いに挑んだわ。

本当、こういう時に通訳さんがいてくれるってありがたいわ!
というか、絶対に必要ね。

いちいち
「もう一回言ってください。」
「意味がわかりません。」
って会話止めてたら話し合いにならないわよ。

事前に調査書は校長先生に読んでもらってたから、
改めて説明することなんてそんなにないんだけどね。

校長先生としては、
「担任の先生はちゃんと対応できる」ってことと、
「次男にも公平に訴えられるようなシステムをつくる」
ってことを話してくれたわ。

そして「重く受け止めてしっかりと対応する」と。


ふーん


なんか担任の先生がメールで返してくれたこととたいして変わらないわね。
要は「次」あったら対応するってことでしょ?ふーん。

あ、でもこれはやっぱり聞いておきたいわ。

「先生、Bの親には話してもらえないんですか?」

って聞いたら、

「現場を見てないから慎重にならなければいけないんです」

ですって。

現行犯じゃなきゃ逮捕不可!
証拠不十分だから不起訴!

ってこと?

「そんなの毎回休み時間に隠れて乱暴してたら
現場なんてみれませんよね?」

って反論したけど、結局のらりくらりと交わされて
「親に話す」って壁は打ち砕けなかったわ。

悔しいけど仕方がないわね。
要望がすべて思い通りになんて行くわけないわよね。

とりあえず今回は大騒ぎにして、
「日本人だからといって黙ってねえぞ」っていうアピールができたからそれでいいわ。

うるさい親だからっていう理由でもなんでも、
ちゃんと対応してくれればそれでいいわよ。

すっきりしない気持ちではあるけど、
やるだけの事はやったし、
ひっくり返ったお母さんでも
これ以上やったって意味が無いことくらいはわかったわ。

引き際は肝心よね。


それで校長先生の言う「次男にも公平に訴えられるシステム」
っていうのがね、ちょっと聞いて頂戴。

担任の先生が次男だけにカードを渡してくれたのよ。
そのカードは両面が赤と緑になってるんだけど、
普段は緑の状態で机に置くんだけどね、
乱暴されたら赤にして机に置くと先生が聞きに来てくれるんですって。


どうこれ。


そのカードいらねぇぇぇ!


超絶無駄でしょ?!

全然現行犯逮捕できないでしょ?!

ポイントずれてるよ先生!

それで結局Bの方に対してはなにもしてないっぽい。。。
でもよくよく次男に聞いてみたら、
Bって子は学習だか知恵だかのの遅れもあって
特別クラスにも通ってるみたいなのよね。

だからもしかしたら学校としても
扱いにくい案件なのかもしれないわ。
お母さんもそういうことならこれ以上追及しない。

まあでも先生もなんかアイデア出して努力してくれてるみたいだし、
それに何と言っても親が動いてくれたことで次男がだいぶ安心してるみたいだから
それが何よりの成果ね。

お母さんもこの辺で身を引くことにしたわ。



今回の件はお母さんもすごく勉強になった。


まず困ったときに周りのママに相談できる関係を
普段から作っておくことって本当に大事だわ。

結果として友達のママを巻き込むことはなかったんだけど、
いざとなったら手を貸してもらえると思うとすっごく心強かった。

子供のいじめが発覚したら
とにかく親たちが徒党を組むことが一番だわ。


そして、
次男が言葉が不自由な上、内弁慶で弱者なのは事実。
どの世界でも弱者っていうのは強者にやられてしまうものよ。

でも次男には優しい強者、いや、むしろ猛者に育ってほしい。
そうなるには弱者の立場を知るっていうのは大切な経験よね。

相手の気持ちを知るってなによりの強みだと思うわ。
今回は5か月間も一方的に乱暴されたわけだから、
プライドも傷ついただろうし、心の痛みも知ったでしょう。
いい勉強よ!

さ、あとは強くなるべく特訓ね。
やっぱりね、溺愛してばっかじゃだめだわ。
もっと心身ともに強くしないと!

そんなわけでお母さんが思いついた次男の心身強化法

ベストキッド作戦

特訓開始よ!

いい?今度Bがへなちょこパンチをかましてきたら、
バシッと払いのけるのよ!

お母さんがあらゆる方向からパンチを繰り出し、
次男はそれを払いのける。
勢いよく払いのけて相手がよろけてもそれはかまわん。

とにかく反射神経を鍛えるのだ!

そうして、次男に日夜パンチを繰り出して
反射神経を鍛えてるわ。

そのかいあってか、
先日次男から

「今日はね、Bのパンチをびしっとやったよ!」


って報告があったわ。

Bめ、まだ乱暴してくるのか!とは思うけど、
次男はBのパンチに対抗する勇気が出てきたんだからいいんじゃないかしら。

それでいいのよ。自分の身は自分で守りなさい。

とにかく己を鍛える事が第一よ。

次男も長男も、これから確実に転校するし、
マイノリティ扱いをされる人生がきっと待ってる。

年齢が上がれば、いじめの内容は深刻さを増すわ。
人格をボロボロに否定される日がくるかもしれない。

今回もそうだったけど、
結局なにしたって相手や周りを変える事なんてできないのよ。
自分が変わるしかないわ。

ひたすら強く誠実に生きるのよ。

弱い人間は、自分に自信がある人間が怖いものだからね。
内面が強い人間にはかなわないから大丈夫。

息子達には、愛と努力と鍛錬でなんとか人生を乗り切ってほしいものだわ。
できればお母さんのような「歩」ではなく

「王」、は無理か。

「金」、いやそれも無理か。

「角」、斜めしか進めない人も困る。

うーん、

「香車」うん、それだわ。

歩みたいにまっすぐしか進めないけど、
スピード感があるほうね!

はじっこの方でもまっすぐに行きてほしいわ。



おわり!