今回の日本一時帰国旅はこちら!
本一時帰国の旅 その4
日本の運転免許証を更新する旅



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書類不備のために
朝早くから警察署に来たというのに
免許証の更新をさせてもらえなかったお母さん。

やるせない気持ちのまま、
為す術もなくつぐおと二人で
ただ呆然と時を過ごしていたわ。

そうして、お母さんのお母さんを待つ間
警察署のベンチで待とうと、
次男とロビーをうろついてると

少し離れたところから知らないじいさんが
こっちに向かって手招きしてる。

他の誰かにやってるのかな、と思って
まわりを見渡してみたけど他に誰もいないわ。

どうやらお母さんたちに手招きしてるっぽい。

なんか知らんけど、近づいていくと
じいさんが嬉しそうに隣に座れって言うじゃない。

お母さん、人の顔覚えられないから
忘れてしまった知り合いなのかと
恐る恐る様子をうかがったわ。

そしたらじいさん、つぐおに向かって

「キミキミぃ、女の子かい?
学校はどうしたんだい?どこの学校?」

って、恵比寿様なのかな?ってくらいの
好々爺ぶりを発揮して
つぐおになにやら質問してきた。

いやじいさん、よく見て頂戴。
この真っ黒に日焼けした、
小汚いジャージの子供を
どう見たら女の子と間違えるの?

ボーイッシュをだいぶ超えた存在よ。

これで女の子だったら、
心が男の子の女の子なのかな?って
本来なら性別聞くの躊躇するレベル。

じいさんに女の子?って聞かれて
めっちゃむっとするつぐお氏。

口を尖らせて答えないもんだから
お母さんが代わりに
「すいません、男の子なんですよ。学校は今日休んでて。」
って答えたわ。

そしたらじいさん、だんまりの次男に
さらに突っ込むのね。

「え、男の子だったの?ごめんねぇ~!
どしたの具合悪いの?学校はどこ行ってるの?」
と。

矢継ぎ早の質問に、つぐおがめっちゃ戸惑ってるから、
やはり代わりにお母さんが答えた。

「今日は私の免許の更新で来たんです。
学校は、実は私たちはアメリカに住んでるんで。。。」

と。真面目に回答したわ。

するとじいさん、まだ突っ込むから。
まだまだ突っ込むぜっていう
意気込みが顔から伝わってくる。

「なっ、アメリカだって。。。!?
どこ?!アメリカのどこなの?!」

これね。アメリカって言ったら
ロスとかニューヨークとか期待してるのかもしれないけど、
聞いてもきっと知らないと思う州。

オハイオって言っちゃうわよ?
日本国内における
オハイオのマイナーさをなめてもらっちゃ困るわ。

オハイオの説明する準備をしつつ

「中西部にある、オハイオ州ってところです。」

って言ったら、じいさん
こっちにズイズイと寄ってきて

一瞬間を置くと、めっちゃドヤ顔でこう言うわけ。

「僕、実は去年お隣のインディアナ州に行ったの。
インディアナポリス。オハイオのお隣だよね!」

と。


このジジイ、ただモノじゃない予感。


ねえこんなことある?
こんな埼玉のひっそりとした警察署で
その辺に座ってたじいさんの口から
インディアナポリスなんて名前が出てくるとかある?

ビックリしてお母さん

「は?なんで?なんでイディアナポリス?!」

って聞いたら、

「僕ね、アレやってるの。
ウエイトリフティング。
あれのシニアの選手なの。
その世界大会が去年あって行ってきたんだよー!
英語教えて?ハロー?ハワイユー?あーハーン?!」

どっからどう見ても、
失礼を承知で言うけど、
せいぜい老人会でゲートボールって
感じのルッキングなのに。

実は世界大会に出てる
スーパージジイだったっていう。

人は見かけではわからないものね~!

まあ、このじいさんちょっとしゃべったら
強烈な個性がダダもれてるけど。

「キミはやっぱり英語しゃべれるのかい?ん?」

って、人見知り中のつぐおに
じいさん容赦なくズイズイ。

そんなイケイケ推し推しジジイに
つぐおはどんどん頑なになり口角が下がり続けてる。
目もだんだん三角になってきて
不細工な顔になってる。

年取ると、小さい子供がかわいくて仕方ないんだろうなー。
つぐおにがんとして無視されてもめっちゃ嬉しそう。

でもやっぱ申し訳ないから
つぐおの無礼は一応謝っといたわ。

それでもじいさんが嬉しそうだから、
お母さんもついつい
おしゃべりがはずんじゃったわ。

力こぶも触らせてもらったけど、
すごかった。やっぱスーパージジイだった。

楽しかったわ、ありがとうよ!
お陰で時間があっという間に過ぎていったわ。

そうこうしてるうちに、
お母さんのお母さんが本籍を載せた住民票を
汗だくになって持ってきてくれた。

なんと自転車でここまで30分かけて来たと。
この40度近い猛暑の中。

お母さんのお母さん、もうすぐ70歳なのに
なんでそんなに元気なの?
でもとにかく彼女のおかげで
ようやく免許更新の手続きを
申請することができたわ。

「講習中に居眠りをしたら再度講習受けなおし」
って事前に注意されてちょっぴり不安だったんだけど、

講師の女性が上〇恵美子にすごい似てて、
ものすっごいクセが強めなしゃべり方だったから
彼女に魅了されっぱなしであっというまだったわ。

講習後しらばらく彼女の口調が乗り移ったほどよ。

そして免許更新の講習を受けてる間、
警察署のロビーでつぐおとお母さんのお母さんが
2人で待ってたんだけど、

お母さんが講習を終えてロビーに戻ったら
彼女、なんか知らない子連れ女性と
めっちゃ話し込んでるわけ。

え、どなたですか、知り合いですか?

お母さんがそっとつぐおの隣に座ると

「これ、娘なんですよ!
さっき話したオハイオの!

ちょっとお母さん、この方
こないだまでアメリカ住んでたんですって!

(忘れたけど)〇〇州で暮らしてたんですって!
このかわいい息子さん見て!
ハーフなんですってー!」


会話の内容よりまず、うるさい。
公共の場で声が大きいのよ。
さっきまでの感謝が吹っ飛ぶ勢いでイラつくわ!

お母さんのお母さんにつかまった女性に
挨拶をして、5歳くらいの息子さんを見ると
あらかわいらしい~!
つい声かけちゃうのもわかるわ。
母の相手をしてくれてありがとう。

そして無事、更新された運転免許所を受け取って
無事大事なミッションは終了。
あー、これで安心してオハイオに戻れる!

それにしても、ちょっと隣に座った人が
2人ともアメリカ経験者とは、
なんだかご縁を感じちゃうわね。

免許更新、色々あったけど午前中には終わったけど
なんだかどーっと疲れたわ~!!


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